スクールカウンセラーを取り巻く雇用環境

スクールカウンセラーを取り巻く雇用環境

スクールカウンセラーの時間給は、概ね5千円前後とされています。この数字だけを見るとかなりの高給と言えますが、月給に換算すると16万円程度にしかなりません。
これは、スクールカウンセラーの殆どが非常勤職員という雇用形態で働いているからです。
現在、1学校につき週1回8時間勤務という雇用条件が大半を占めています。

もっとも複数の教育機関を掛け持ちすれば高収入を得ることも可能ですが、現在のところ掛け持ちできるほどスクールカウンセラーの需要は多くありません

しかし今後は需要が増える可能性もあります。
文部科学省が、公立小中学校へのスクールカウンセラーの配置拡大を強く進めているからです。
また教育の現場では様々な問題が噴出していて、教育界全体がスクールカウンセラーの力を必要としています。

スクールカウンセラーを取り巻く環境は、社会的ニーズはあるにも関わらず雇用創出が進まないというもどかしい状況と言って良いでしょう。

スクールカウンセラーの収入ってどれくらい?

スクールカウンセラーの報酬は時間給で支払われることが殆どです。
私立学校だと月給の場合もありますが、週1~2回という頻度や総労働時間はあまり変わらないため、時間給に換算すれば大体5千円くらいに納まります。

またスクールカウンセラーという仕事は、その多くが非常勤職員という位置付けです。
雇用期間も基本的には1年度限りという場合が殆どなので、かなり不安定な職種と言えるでしょう。
したがって一つの教育機関だけで生計を立てているスクールカウンセラーはむしろ稀で、複数の仕事を掛け持ちしていることが多いのです。

ただ生活費の補助としての目的であれば、1学校のみの勤務でも充分な収入になります。
例えば時給5千円で週1日8時間勤務のケースに基づいて計算すると、1年間の総労働時間は大体280時間位なので、5千円×280時間で年収140万円になります。
週に1日働くだけで140万円も稼げるという見方もできなくはありません。
なお昇給や賞与等は、基本的にありません

統計的なところでは、スクールカウンセラーの収入にまつわるデータ自体が少ないため、平均年収等についてはっきりしたことは分かりません。
ただ日本臨床心理士会が実施している「臨床心理士の動向調査」という調査結果があり、収入の実情を窺い知ることはできます。
これによると、臨床心理士の平成27年度における見込み年収(税込)は、300万円台が19%と最も多かったです。続いて200万円台が16.5%、400万円台が15.5%という結果でした。
臨床心理士の半数以上が200~400万円台の年収というわけなので、少なくとも高給取りとは言えない職業であることが分かります。

もっともこれは臨床心理士のデータであって、スクールカウンセラーとイコールではないですが、スクールカウンセラーの約8割は臨床心理士ですから、ある程度参考になると思います
なお臨床心理士の資格が無くても、「スクールカウンセラーに準ずる者」として勤務できる場合があります。ただスクールカウンセラーよりも時給は低く、3,000円前後が相場です。

また、スクールカウンセラーの給与形態に関しては「スクールカウンセラーの具体的な仕事内容とは?」の記事で詳細をご説明させていただいておりますので、是非一読くださいませ。

スクールカウンセラーの多様な働き方

以上のことから、一つの教育機関のみの勤務で生計を立てることは困難です
多くのスクールカウンセラーは、複数の教育機関を掛け持ちしたり、保健・医療機関や大学・研究所などの他分野にも所属するなどして不足する収入を補っています。

なお前述の「臨床心理士の動向調査」によると、勤務場所として最も多かった領域は、保健・医療領域の41.9%でした。教育領域は二番目に多く36.0%、大学・研究所領域が25.3%で続いています。
勤務領域の数については、1領域の人が54.0%と最も多く、次いで2領域の人が26.4%、3領域9.3%、4領域2.4%という状況です。

また勤務形態については非常勤のみという人が44.7%でした。
次いで常勤のみが33.8%、常勤と非常勤を併用する人が13.8%となっています。

臨床心理士になるには、基本的に大学院で心理学を学んだ上に資格試験をパスしなければなりません。
せっかく苦労して臨床心理士になったのに、このように不安定な雇用情勢では不満が出るのも当然ではないでしょうか

スクールカウンセラーの働き方の具体例

特に地方公務員は、地方公務員法により副業が原則として認められていません
ただ公立校のスクールカウンセラーのように非常勤勤務の特別職であれば、地方公務員法の適用除外となっているので、基本的には副業しても構いません。

しかし既述の通り、スクールカウンセラーを複数掛け持ちするのは困難な状況にありますし、保健・医療機関や大学・研究所などの他分野まで手を広げるにも能力的な限界があります。

そこでお勧めしたいのが、専門学校や臨床心理士専門の予備校などで、非常勤講師として働くという方法です。
立場は違えどもスクールカウンセラーと同じ教育機関というフィールドですし、臨床心理士としての知識もスクールカウンセラーとしての経験も両方生かせるので好都合です。

例えば時給5千円の雇用条件で、1コマ90分の授業を週4コマ行ったとします。
1か月を4週として考えると月に16コマありますから、月給に換算すれば5千円×1.5×16コマで、12万円の収入になります。
年収に換算すると144万円ですから、副業としては充分の金額と言えるでしょう。

まとめ

総じてスクールカウンセラーとは不安定な職業ですが、皮肉なことに、この不安定さが意外と重要だったりもします。
何故なら、スクールカウンセラーが安定的に長時間常駐してしまうと、教員や保護者との馴れ合いが生じ、スクールカウンセラーが本来持つべき「第三者性」や「外部性」という性質が損なわれやすいからです。

よってスクールカウンセラーの正社員化は今後も難しいのではないかと思います。
現状でも時間給の条件は良いわけですから、スクールカウンセラー1人につき週3日程度の雇用は確保するなど、安心して働ける環境を整えることが国の急務と言えるのではないでしょうか。