実際にスクールカウンセラーになるには何が必要か?

実際にスクールカウンセラーになるには何が必要か

文部科学省が平成29年10月に発表した調査結果によると、2016年度のいじめ件数は32万3808件でした。
これは前年度よりも9万8,000件ほどの増加です。
またいじめによる自殺者数は320人にも上ります。

自殺者の全体数が平成15年をピークに減少しているにもかかわらず、いじめによる自殺者数は300人前後の高い水準で推移し、依然として減らない傾向が続いています。

また長引く日本経済の低迷により、子どもの貧困の問題がクローズアップされつつあります。
今や労働人口の4割強が年収300万円以下という状況なのです。

さらに、児童虐待もまた大きな社会問題の一つです。
全国の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は、平成28年度で12万件を超え、過去最多を更新しました。

こういった中、スクールカウンセラーは、このような子どもを取り巻く様々な問題を解決へと導くスペシャリストとして期待されています。

スクールカウンセラーとは

スクールカウンセラーとは、小学校や中学校などの教育機関において主に子どもの心理的な問題に従事する人または職業のことを指します。
このことから、スクールカウンセラーという資格があるわけではありません。

一般的にスクールカウンセラーというと、いじめや不登校等の問題を抱えた子どもへのカウンセリングをイメージされることと思いますが、実際の仕事はこれだけではありません。

保護者や教員を交えた相談や教育会議への参加、臨床心理学の講義、ストレスチェックのような予防策の実施など、その業務の幅は広範囲に及びます。
教育の現場は実に数多くの問題を抱えているので、スクールカウンセラーは極めて重要な任務を担っていると言えるでしょう

またスクールカウンセラーという立場には大きな特徴があります。
それは、教員や保護者には無い「外部性」や「第三者性」という性格です。

教育現場の内部で問題を解決しようとすると、どうしても従来の人間関係のしがらみが付きまとうため、発展的な発想が生まれにくいものです。
その点、スクールカウンセラーは第三者としての中立的な立場から、冷静かつ客観的に問題の究明に当たることができますし、利害関係が介在しないことも奏功します。
この特性は、スクールカウンセラーに限らず心理カウンセラー全般において前提とされるもので、二重関係の回避という倫理的な義務にもなっています。

事実、文部科学省の調査において、「学校の成績などのバイアスが掛からないので気軽に相談できた」「人間的な感情をベースに会話できるので本音を打ち明けられた」などの成功事例が数多く報告されています。

心の専門家としての知恵もさることながら、外部性や第三者性というスクールカウンセラーの特性にも、教育現場から大きな期待が寄せられているのです。

また、これらのスクールカウンセラーの役割に関しては「スクールカウンセラーの様々な役割とは?」の方に詳細なご説明がございますので、是非一読くださいませ。

スクールカウンセラーになるために必要な資格

また誰もがスクールカウンセラーになれるわけではありません
各教育機関によって資格要件は異なりますが、基本的には臨床心理士の資格が必須条件となります。

臨床心理士とは、心理的な問題に取り組む専門家としての民間資格で、日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格する必要があります。
さらに前提となる受験資格として、指定された心理学専門の大学院を修了していなければなりません。
因みに現在スクールカウンセラーとして活躍している方々の約8割は、臨床心理士の資格を持っています

なお、臨床心理士試験の合格率は、例年概ね60%台前半です。
比較的高い数字なので難関資格とまでは言えませんが、既に大学院で専門知識を学んだ人たちだけが受験していることを考えると、やはり狭き門です。

また試験は一次試験と二次試験に分かれています。
一次試験はマークシートと論文の筆記試験で、二次試験は面接という形式です。
このあたりの試験についての詳細は当サイトの他の記事を参考にして頂けますと更に理解が深まるかと思います。

この他、臨床心理について高度の専門的知識や経験を有する大学教授や講師などもスクールカウンセラーになることができますし、精神科医は当然に資格があります。
ただ以上の資格要件はあくまでも一般的なものです。
自治体等によっては臨床心理士の資格を要しない場合もありますので、各自で募集要項をチェックしてみてください。

スクールカウンセラーに必要な素養

このようにスクールカウンセラーになるには基本的に資格が必要ですが、同時に重要なのが本人の素養や資質です

スクールカウンセラーとは、保護者や教員などの当事者では解決が困難な問題に正面から向き合う仕事です。
当然のことながら相当な精神力が必要とされます。
また場合によっては、極めてデリケートな子どもの心の問題や家庭問題に深く入り込んで、関係者と上手にコミュニケーションを取っていかなければなりません。

子どもの心身の健康を取り戻してあげたいという強い使命感が無ければおよそ務まらない仕事と言えるでしょう。

ただそれだけ困難な任務であるがゆえに、学校生活が健全化し子どもに笑顔が戻ったときの喜びや充実感は、非常に大きなものがあります。

また、臨床心理士等の資格が無い場合でも、「スクールカウンセラーに準ずる者」として勤務する方法があります。

一般的には、「大学院修士課程修了者で子どもを対象とした相談業務について1年以上の経験がある人」または「大学卒業者で子どもを対象とした相談業務について5年以上の経験がある人」等が対象となります。

ただこれも自治体等で要件が多少異なるので、個別に問い合わせて確認してください。

また学校カウンセラーや学校心理士、臨床発達心理士などの資格保持者も、「スクールカウンセラーに準ずる者」として認められる場合があります。
これらの資格は臨床心理士よりも敷居が低いので、比較的短期間の学習で取得することができます。

もっともスクールカウンセラーよりは待遇面で劣ります
具体的にはスクールカウンセラーが時給5,000円程度のところ、「スクールカウンセラーに準ずる者」の場合は3,000円程度が相場です。
この条件でも問題が無いのであれば、一考に値すると言えるでしょう。

まとめ

最近の動向としては、公認心理師法の成立が挙げられます。
公認心理師とは、心理に関する支援を要する人をサポートする専門家のことで、心理学に関連した国内初の国家資格です。
平成27年9月に成立、施行されました。

なお第1回目の公認心理師試験は、平成30年中に実施される予定です。
臨床心理士との差別化などの詳細はまだ定まっていませんが、今後スクールカウンセラーの資格要件にも盛り込まれるものと考えられています。

いずれにしましても、スクールカウンセラーの本分は「子どもの心に寄り添い、健全な心身の成長をサポートすること」です。
心の専門家としての高い志が前提となるのは言うまでもありません

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